【取材日記】もぐらの冒険~遊び場・集い場~

更新日:2023年11月02日

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 今回の取材先は、「遊ぶことは生きること‼」をモットーに、地域の新たなコミュニティーとなる子どもの遊び場・大人の集い場を目指す「もぐらの冒険~遊び場・集い場~」です。

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 お話を伺った代表の「もなか」と「がーり」のお二人は、とにかく明るく、周りを照らす太陽のような方々でした。

 「僕が初めてボランティア活動をしたときについたニックネームが「もなか」でした。以来20数年間、活動するときは「もなか」で通しています。ニックネームを使わないと子どもたちは僕のことを「先生」と呼びますが、「先生」では上下関係になってしまいます。ニックネームを使うことで、子どもたちとフラットな関係を築くことができると考え、もぐらの冒険ではニックネームで呼び合っています。」

 と話すもなかさん。子どもたちとの交流を何より大切にしていることがひしひしと伝わってきました。

 もぐらの冒険の主な活動は、毎月1回実施する、私有地を使ったプレーパークです。
 プレーパークは、「自分の責任で自由に遊ぶ」「みんなのやりたいが大切にされる遊び場」を大事にした活動で、日本では1979年に世田谷区で開園した羽根木プレーパークが始まりとされており、以降国内の様々な地域に広がりを見せています。
 現代は公園内の禁止事項が増えるなど、子どもたちが自由に遊ぶ場所がなくなり、子どもが外で遊ぶ機会が減少しています。
 また、どんな土地にも所有者がおり、その土地で遊ぶには所有者の定めたルールを順守する必要があるため、子どもが自由に遊ぶことが難しくなっています。

 「僕たちの活動も私有地を使っていますが、子どもたちのやりたい気持ちを大切に、穴掘りや泥遊び、火起こし、のこぎりを使った木工など、とにかく外遊びでできることは何でもしています。子どもにとって「危ない」「汚い」は魅力的に感じますが、大人はどうしても止めてしまいがちになります。もぐらの冒険では、やりたい気持ちこそ「生きる力」だと思い、子どもたちのやってみたい気持ちを尊重した遊びを行っています。」と真剣な眼差しで語るもなかさん。

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 子どもにとって、自分たちの思い通りに遊べる場所はとても魅力的に感じますね!しかし、保護者としては子どもたちの好きにさせるのは不安が残るのではないでしょうか。

 「僕も一人の親ですが、自分の子どもを信じて黙って見守るのは大変なことですし、心配は尽きません。ですので、同じ気持ちを共有した大人たちが集まることで不安を軽減し、子どもの遊び場だけでなく、大人のコミュニティー形成のための集い場として機能していきたいと考えています。」

 と、もなかさん。もぐらの冒険を介して、子どもから大人まで、多世代間の交流が深まると素敵ですね!

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 さて、お二人がこの活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

 「元々、もなかは子どもの居場所作り、がーりは幼稚園や保育園に関係する仕事に携わっていました。子どもに関係する仕事や活動をしていく中で、学校や幼稚園以外に子どもが好きにつながることができる居場所があるといいね、という思いがずっとあり、いろいろ関係する活動などを見ていく中で、自分たちでもやってみたいという気持ちが膨らみ、始めてみよう!ということになりました。」

 と楽しそうに話すがーりさん。やってみたいと思っても、実際に行動に移すのはなかなか難しいですよね。想いを実現できる行動力は、素晴らしいと思います。

 ですが、プレーパークのような活動は、続けていく中で苦労もたくさんあったのではないでしょうか。

 「最近は子どもの声がうるさいとか、子どもがけがをしたとき、誰が責任を取るのか、といった声はよく聞かれます。子どもが集まる場所には理解が必要なのですが、子どもの居場所にはみんなで分け合うことが重要だと思っています。親御さんが見ていなくても、その場に参加している大人が見守ることで責任も分け合っていく、主催者がすべてを行うのではなく、みんなが参加者で、みんなで責任を共有して、その場にいる人で作り上げていくという意識を丁寧に説明して理解を深めていきたいと思います。」
 「誰が責任を取るの、という話をされたときこそがチャンスで、こちらの思いを共感してもらったり、こちらが想像もしていなかった新たな意見をもらったり、人とのやり取りを通して人とつながっていけるというのがやりがいにも感じます。」

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 お二人の言葉からは、自分たちの活動に対する情熱と、活動を継続していくという強い決意を感じました。お二人の真摯な活動に多くの仲間が集まり、もぐらの冒険は地域の新たなコミュニティーとして定着しつつあると思いますが、今後の目標はあるのでしょうか。

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 「市原市内に常設のプレーパークを作りたい!ということですね。今、もぐらの冒険は月に1度しか実施できていませんが、「今日、誰かと遊びたい!誰かと会いたい!」と思い立った時に、もぐらの冒険に行けばいつでも誰かとつながれる、そんな場にしていきたいですね。そのためには他団体や市原市とももっと交流を深めていきたいです。」
 「もぐらの冒険は今年、活動開始から10年目を迎えます。この10年間でいろいろな人と出会うことができました。この縁を大事にして、私たちができることを精いっぱいやっていきたいです。ほかの団体さんが主催するイベントにも積極的に参加していきたいですね。」

 これまでの活動で、多くの方々とのつながりを実感しているお二人。今は、月に一度のプレーパークだけではなく、講演会や連続セミナーの開催、出張あそび場の実施など、多岐に渡る活動を行っています。活動が広がったのも、様々な分野の方々とのつながりが持てたからだそうです。

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 最後に、個性的な団体名である「もぐらの冒険」の由来についてお伺いしました。

 「もぐらは土と共に生きる動物です。土に触れ、泥遊びをしたりする僕たちの活動にぴったりのモチーフだと思い選びました。冒険については、プレーパークが冒険遊び場とも呼ばれていることから取って、「もぐらの冒険」と名付けました。」

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 「もぐらの冒険」のもぐらのキャラクターは「もぐたん」というそうです。今後も、様々なイベントで出張あそび場を実施していく予定とのことですので、イベントで「もぐたん」を見かけたら、ぜひ、もなかとがーりのお二人に声をかけてみてください。
 きっと、楽しい時間を過ごせますよ♪

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