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取材日記(NPO法人知的コミュニケーション研究機関連合)

更新日:2020年06月25日

お知らせ

今回、お話をお伺いしたのは、「NPO法人知的コミュニケーション研究機関連合(AIIC)」の皆さんです。
活動拠点は県道128号線の東国吉交差点のすぐ近くにある「粘菌博物館」。大きな切り株に粘菌を模したカラフルなピンが可愛らしいモニュメントが目印です。

外観.PNG

世界初となる常設の粘菌資料展示施設「粘菌博物館」は平成28年4月にオープンしました。
京都や山形から足を運ぶ熱心なファンもいる博物館では、月に1度、粘菌学校を開校し、粘菌の生態や自然環境保護について学んだり、粘菌栽培キットで自分だけの粘菌を育てて、顕微鏡での観察や実験を行っています。
また、近くにある自然の森公園や能満の釋蔵院(しゃくぞういん)裏の保存林で行う粘菌観察会は、小学生から大人まで大人気のイベントだそうです。

ところで、冒頭から「粘菌(分類名は変形菌)」を連呼してしまいましたが、そもそも「粘菌」って何なのでしょう?
聞いたことはあるけれど、よく分からない・・・・・。
私も取材に伺うまでは粘菌についてまったく知らなかったのですが、聞けば聞くほど、奥深い粘菌の世界を、ほんの少しご紹介します。
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とっても小さな粘菌たちは、このような朽木や土壌、枯葉の裏などに生息し、世界で約900種類、日本では約500種類が確認されているそうです。

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こちらの写真は、会員さんが5月6日に釋蔵院裏で見つけた「マメホコリ」。
コロッとしたオレンジ色の姿がとっても可愛らしいのですが、1円玉と比較すると小さな粘菌を自然の中で探し出すことの大変さが想像できます。
マメホコリ組写真.JPG

しかも、色鮮やかな美しい期間はほんの一瞬で、一夜にして刻々と色や姿が変わり、最後にはひび割れをして胞子を飛ばし、新たな場所で繁殖するのだそうです。

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こちらも同じ日に釋蔵院裏で見つかった「マンジュウドロホコリ」。
見つけたのは、粘菌が大好きな千葉市にお住まいの中学2年生の女の子!
偶然にも胞子を飛ばす瞬間を観察することが出来、とても感動していたそうです。

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黄色が目にも鮮やかなこちらの粘菌は、6月4日に上総国分寺境内で発見された「ススホコリ」。

「森の宝石」ともいわれる粘菌の魅力を知るには、インターネットで粘菌の画像を検索してみることをお勧めします。
乳白色・白・黄色・オレンジ・ピンク・赤・緑・青・紫・黒・マーブル模様など、熱帯魚も顔負けの豊かな色彩!
そして姿はといえば、イソギンチャクやサンゴに似たもの、キノコやツヤツヤぷるんとしたイクラのようなもの、レースや雪の結晶を思わせる繊細な形のもの、果ては物語のムーミンに出てくる謎の生物「ニョロニョロ」やチョコバナナのようなものまであり、飽きることなく眺めていられます。

不思議なのは、色や形だけではありません。
なんと、粘菌には動物のように動き回って食料となるカビやバクテリアを捕食する変形体と呼ばれる時期と、写真にあるように動かない子実体と呼ばれる植物の時期があるのです。
動き回るアメーバの状態から子実体への変わる時の変形菌の動きはインターネット上で多数見ることができますが、不思議と驚きの連続で、まるでSF映画を見ているようです。
興味のあるかたは、是非、探してみてください。

20億年前からアメーバ状の生活と、菌類のような子実体の時期を繰り返し、劣悪な環境下では乾燥状態の菌核に姿を変え、好環境となるまで耐え忍ぶ、ある意味不老不死のライフサイクルを持つ微生物「粘菌」。

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長年に亘り粘菌を研究してきた帝京平成大学名誉教授の加藤修一代表は、大学院で教授として教鞭をとられていた頃に、文部科学省主催の理科支援活動として県から依頼され、小学生を対象に粘菌の生態について出前授業や特別講義を行ってきました。

加藤先生_IMG_7797.JPG


子供たちや粘菌博物館の来館者に伝えてきたのは、不思議な生態だけではなく、粘菌から学ぶ環境汚染について。

粘菌には学習能力や伝達能力がある、と言ったら信じられるでしょうか。
脳を持たない粘菌ですが、生存を脅かす存在にはとても敏感で、危険を察知すると避けて通ります。核分裂を繰り返し数が増えた粘菌は、集合体となって食料を求め動き回りますが、危険物質の存在を知っている粘菌と知らない粘菌が融合すると、危険物質の情報が集合体に共有されて逃げ方が早くなる研究結果が発表されているそうです。

この性質を使い、市原市でも問題となっている不法投棄が環境を汚染している場所を、粘菌の生息域を調べることでマップに出来るのではないかと加藤代表は考えています。
研究には膨大なデータが必要となるので、実現には時間がかかるそうですが、粘菌を知ることが環境汚染について考えるきっかけとなったら素晴らしいですね。

取材のなかで、粘菌は「森の賢者」であると話してくださった加藤代表の言葉がとても印象に残りました。
ー自然界に生きる粘菌は、20億年ほとんど姿を変えることなく、その時々の環境に適応しながら生息してきた。人類は森林伐採や工場誘致などを行い、自分たちに住みやすい環境を作りだしてきたが、その行為は自然を破壊し、環境を汚染し、災厄を生み出してきたとも言える。
コロナウイルスが猛威を奮う今、人類はワクチンを開発してウイルスに対抗しようとしているが、恐らく来年になればウイルスは変異し、人類がウイルスに勝利することはない。共存する道を探るしかない。
コロナの時代だからこそ、自然の一部として生きる「森の賢者」粘菌の生き方に学ぶものがあるのではないか。ー

取材日記では伝えきれなかった話しの続きは、いちラジでお聞きください。

奥深い粘菌の世界に興味が沸いた方は、粘菌博物館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
粘菌がもっと身近な存在となるはずです。

粘菌博物館
住  所:市原市東国吉495番地 
電  話:0436(52)0014
開館時間:第一土曜日 10時~17時
(開館日以外でも会員さんの都合がつけば開館可能。まずはご一報ください。)
※粘菌学校、自然観察会の開催日についてはお問合せください。

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左から、加藤代表、町田さん、中村さん、佐藤副館長。
興味深いお話しを、ありがとうございました。