取材日記(鶴舞踊りの会)

更新日:2023年09月08日

「鶴舞踊りの会」の取材のため、10月19日に旧鶴舞青年の家に伺ってきました。
この日は、10月27日に市民会館で開催される市原市文化祭で踊りを披露するため、会員に加え、鶴舞小学校のキッズチームと先生方も一緒になり、舞台上での動きを確認しながらの練習でした。

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現在の会員数は46名。毎週土曜日の15時から16時まで、旧鶴舞青年の家の体育館で練習をしています。


浜松藩主であった井上河内守正直が1868年(明治元年)に上総国へ領地替えとなり、鶴舞藩を立藩してから、銀行、高等女学校、映画館、郵便局や警察署、保険会社、製糸工場などが建ち、内陸地の文化・経済の要所として栄えた鶴舞では、料亭や割烹店も賑わっていたそうです。大正から戦前まで活躍した芸者さんが踊っていたお座敷踊りやお座敷唄が、「鶴舞小唄(鶴舞みんよう)」として現在も残っているのです。

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「鶴舞みんよう」は、童謡「シャボン玉」や「てるてる坊主」、「東京音頭」などを手掛けた中山晋平氏が作曲。
作詞は鶴舞高等女学校で教鞭をとっていた吉原水之(染太郎)氏と、書店を営んでいた高石與平治氏によるもので、当時としては珍しいご当地ソングとして愛され、昔から地域の盆踊りや小学校の運動会で踊られてきました。
歌詞には鶴舞の四季折々の美しい情景が詠まれており、鶴舞の地を誇りに想う人々によって大切に受け継がれてきました。

会では昨年、市民公益活動支援補助金を活用して「鶴舞おどり」の歴史や地域の皆さんの声をまとめた冊子を制作し、鶴舞みんようの伝承に力を入れています。

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また、鶴舞みんようの新たな担い手として、昨年からは鶴舞小学校の児童12名がキッズチームとして活動に参加しており、この日は10名の子どもたちが3人の先生と一緒に練習に励んでいました。市原市文化祭の当日は、旧鶴舞青年の家を拠点に活動する都内の若者グループ「のろし」のメンバーも参加するそうです。
子どもたちからは、「みんなで合わせて踊るのが楽しみ」「品良く、しなやかに踊るのは難しい」といった声が聞かれましたが、地域の大人たちと踊りを通して交流し、三味線の生演奏と唄に合わせて迎える晴れ舞台は、子どもたちにとっては忘れられない経験となり、地域への愛着が増すきっかけに繋がるのだと思いました。

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鶴舞踊りの会では、鶴舞公園の観桜会、夏の盆踊り、秋の市民文化祭での披露に加え、最近では高齢者施設への慰問や、小湊鐵道の観光客へのおもてなしとして上総鶴舞駅や養老渓谷駅でも踊りを披露をしているそうです。
80歳を超える会員さんも、踊りとなるとシャキッとするので踊りは健康の秘訣よ、と話してくださる会員さんの笑顔がとても印象的でした。